2010/01/16

夕刻阿房列車

鴻巣へ行こうと思う。理由はない。
と、まあ、阿房列車の胴元たる百鬼園先生を気取るわけじゃないけれど、実はニュースで昭和の特急電車引退という記事をみて、それならちょっと乗ってみようかな、と。

僕らがコドモの頃は、特急といえば夢の超特急新幹線ひかり号がまあ、イチバンだったワケですが、下町のコゾーには高嶺の花っちゅーか、正直交通博物館の模型で観る程度だったわけです。しかしクリーム色に赤いラインの特急電車は上野とか新宿辺りでも観かけること出来るからなじみが深い。そんな特急用車両が引退するというので、ノコノコと上野まで出向いて乗ってきたです「ホームライナー鴻巣3号」。で、コーノスってドコ?サイタマ?。何があるの?ええ、調べましたとも。昭和の特急電車乗るために。(笑)
 
いやしかし、夕刻の上野駅はサラリーマンの方々がたくさんいて、なんかアゥエーな感じのワタクシ。ホームの券売機で500円の「ライナー券」を買って待っていると、来ましたね古くさい特急電車が。
改めてみると頑丈そうな造りでレトロモダン。脇に付いたプレートに特急じゃなくて「急行」って書いてあるのがちともの悲しい。そして乗り込んでみると懐かしい感じいっぱい。
シートのサイズは小さいけど、リクライニングシートの構造は凝っていて、背もたれを倒すと同時に小さめの座面が前にせり出してくる。おお、何か金かかっている感が「特急」らしい。
ボクの記憶だと、確か折り畳み式の小さなテーブルがついていて、その下面に「栓抜き」が付いていたように思うんだけど、壁にテーブルが付いていた後があるだけで、シート裏の飛行機式のテーブルになっているのが何となく残念。

んで、発車時刻になると、車内は6割程度の埋まり具合。そのほとんどがサラリーマンの方々で、残りはボクのような酔狂な人かカメラぶら下げた鉄っちゃん。電車が走りだすと驚かされるのがその振動と音。いやあ、昔の電車ってこんなだったか?と思うくらい加速時と減速時の振動と音が凄くデカイし、もうね、エラく揺れる。特に赤羽越えてからスピード上げるとなんだかスゴイ事になるんだけど、それもまあ旅の趣っつーことでユルす。なんか駅弁喰いたくなっちゃうね。

そして驚いたのが車内風景。
まあ、ホームライナーってネーミングの通り、郊外へ帰る人たち向けに仕立てた列車なんだから仕方がないというか何というか。あのね、半分以上のお客さんがビールと(しかもほとんどがアサヒのスーパードライ)柿の種orさきイカ持ってる。何かキマリでもあるのかと思うほど、みんなビールに柿の種、ですよ。そんでもって電車動き出す前にポリポリ喰い始めるわけ。
いやあ、その姿は、なんか観ちゃいけないモノを観ている感じ。いつもギュウギュウの通勤電車を回避してちょっとぜいたくに500円払ってゆっくり座り、ビール飲んで帰ろうか、なんて言うささやかな楽しみなんでしょうね。なんか自分が場違いなところにいるなあと、あらためて思いましたよ。
でもね、席着いてスグに靴脱ぐのは止めようぜ。何か靴脱いでる人たくさんいるんだけど、すげーカッコわるいしさ。
家でやろう。

と言うワケでおおむね1時間弱、昭和の特急電車をゆっくり堪能したので、後は帰るだけなんですが、折り返し帰りに乗った高崎線の電車の何とモダンな事。音も静かだし乗り心地も明らかに違う。普段気にしなかったけど、電車って確実に進化しているもんですね。

ちなみにボクが乗った「ホームライナー鴻巣3号」。車両の端にあったプレートみたら、製造年が「昭和47年」となっていたです。38年前の新型車ってことですな。




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